
水道の基礎知識耐圧試験施工基準
「試験圧力」とは、水道管や給水装置が想定外の圧力に耐えられるかどうかを確認するための耐圧試験における基準値です。
住宅・ビル・公共施設など、あらゆる建物の水道設備は、この試験圧力をもとに施工・検査が行われ、安全性を担保しています。
本記事では、試験圧力の定義、1.75MPaという基準値の意味、試験方法、そして現場での注意点をわかりやすく解説します。
試験圧力とは、水道設備や配管が安全に使用できるかどうかを確認するための耐圧試験における水圧の基準値です。
通常の使用状態を上回る圧力を一時的にかけることで、配管・継手・バルブなどに漏れや破損がないかを確認します。
この工程を経て初めて、給水装置は「安全に使用できる」と認められます。
・試験圧力=水圧を加えて強度・気密性を確認する基準値
・耐圧試験=実際の水圧よりも高い圧力を一定時間かけて漏水検査を行う
・目的=漏れ・破損・緩み・材質欠陥の早期発見
日本の多くの自治体や水道事業者が採用している標準的な試験水圧は1.75MPaです。
この数値は、通常の使用水圧(約0.3〜0.6MPa)よりも数倍高い圧力を想定し、ウォーターハンマー(水撃作用)など突発的な衝撃にも耐えられるように設定されています。
この値は、配管に加わりうる最大水圧や施工誤差、経年劣化を考慮して設定されています。
「安全率」を確保するための余裕を持たせた値であり、長期間の安定供給を保証するための国内標準基準です。
新しい配管工事や給水装置を設置した際は、施工の品質と安全性を確認するために試験圧力1.75MPaを1分間保持する耐圧試験を行うのが一般的です。
この試験で圧力の低下が見られなければ、漏水や緩みがないと判断され、工事完了後に通水されます。
・試験圧力:1.75MPa(標準)
・保持時間:1分間
・確認項目:漏水・接合部緩み・圧力降下の有無
・判定基準:圧力保持が安定=施工品質に問題なし
全国的に1.75MPaが目安とされていますが、水道法で明確に統一基準が定められているわけではありません。
各自治体や事業者が給水区域・地盤条件・使用水圧などに応じて、独自の試験水圧を設定することができます。
・地盤の高低差が大きい地域:1.5〜1.6MPa程度で実施される場合あり
・高層ビルや高圧給水地域:2.0MPa以上の耐圧試験を行うケースもある
・試験条件は施工仕様書・水道局指導に従うことが原則
耐圧試験では、圧力を加えることそのものが目的ではなく、施工全体の安全性・精度を検証することが重要です。
以下の項目を確認しながら実施することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
・ウォーターハンマー(水撃作用)に耐える配管設計か確認
・継手・バルブの締付け状態を試験前に再チェック
・試験用ポンプのゲージ精度を確認
・試験後は徐々に減圧し、急激な圧力変化を避ける
「試験圧力」とは、水道管や給水装置が安全基準を満たしているかを確認するための重要な指標です。
標準的な試験圧力は1.75MPaですが、地域条件や設計仕様により異なる場合もあります。
安全で信頼できる水道設備を維持するためには、試験基準を遵守し、耐圧試験を確実に実施することが不可欠です。

