水道管の侵食の概念とは?

2022年12月06日 12:51
水道管の侵食の概念を解説するツバメに乗った救急水道サービスの水滴マスコット
水道管の侵食の概念とは?|異種金属腐食・マクロセル/ミクロセル侵食の仕組みと対策

水道の基礎知識侵食と腐食電食・マクロセル

水道管の侵食の概念とは?|異種金属腐食・マクロセル/ミクロセル侵食の仕組みと対策

埋設された金属製の水道管は、さまざまな環境要因により電気的な腐食(侵食)を受けることがあります。特に、異種金属の接触・土壌環境の違い・微生物活動などによって金属表面に電位差が生じると、腐食電池(ガルバニックセル)が形成され、電流の流出側で金属が溶解・侵食されていきます。この記事では、水道管の侵食の基本概念、マクロセル・ミクロセル侵食の違い、原因と防食対策についてわかりやすく整理します。

1. 水道管の侵食とは?(基本概念)

水道管の侵食とは、埋設された金属管が電気的・化学的な反応によって金属成分が溶出・失われる現象を指します。腐食反応によって鉄が酸化され、Fe²⁺やFe³⁺の形で溶け出すことで、管壁が薄くなり、最終的には漏水や破裂につながります。特に地下では、金属管と周囲の土壌・異種金属との間に自然電位差が生じることが主な原因となります。

2. 異種金属接触による侵食(ガルバニック腐食)

異なる種類の金属(例:鋳鉄・鋼・銅・真鍮・ステンレスなど)が接触して埋設されると、自然電位(腐食電位)の差により電池が形成されます。自然電位の低い金属がアノード(+側)となって溶解し、腐食が進みます。これをガルバニック腐食(異種金属腐食)といいます。

例:鉄と銅の接触時

・鉄の自然電位 ≒ -0.44V(低い)

・銅の自然電位 ≒ +0.34V(高い)

→ 電流が鉄から銅へ流れ、鉄側(低電位側)が腐食(Fe → Fe²⁺+2e⁻)

3. マクロセル侵食とは?(異環境電池による腐食)

同じ金属であっても、埋設条件の違い(乾湿・通気性・pH・土壌成分など)によって電位差が生じ、マクロセル(大きな電池)が形成されることがあります。これにより、酸素や湿度が豊富な側がカソード、酸素が乏しい湿潤側がアノードとなり、アノード側で腐食が発生します。

・乾燥/通気良好な場所 → カソード(腐食しにくい)

・湿潤/酸素不足な場所 → アノード(腐食しやすい)

・長い埋設配管では、この差が「マクロセル侵食」として顕在化

4. ミクロセル侵食とは?(局部的な電位差による腐食)

ミクロセル侵食は、同一金属表面の微小な環境差によって生じる腐食現象です。金属表面に存在する微細な不均一(結晶粒界・応力部・酸素濃度差など)により、極めて小さな電池が形成されます。これが多数発生すると、局部腐食(ピット腐食)バクテリア腐食が進行します。

バクテリアによる腐食(微生物腐食)

土壌中の硫酸塩還元菌(SRB)や鉄酸化細菌が、金属表面で酸化還元反応を促進し、局部的な腐食を加速させることがあります。これもミクロセル侵食の一種であり、腐食性土壌・嫌気性環境で特に注意が必要です。

5. 侵食の分類と特徴まとめ

区分主な原因特徴
異種金属腐食自然電位差(金属間接触)低電位金属が選択的に腐食
マクロセル侵食乾湿・pH・通気性の違い広範囲で緩やかに進行
ミクロセル侵食局所的な電位差・微生物作用局部腐食・ピット発生

6. 水道管の侵食を防ぐための防食対策

・異種金属接触部には絶縁継手を設けて電気的連続を遮断

・外面には防食塗料・防食テープ・ポリエチレンスリーブを施工

・湿潤地・腐食性土壌では被覆管や犠牲陽極を使用

・バクテリア腐食の恐れがある場所は排水性と通気性を確保

7. まとめと要点コピーボックス

水道管の侵食は、金属の電位差と環境条件の違いから生じる自然現象です。マクロセル・ミクロセル侵食は見えないところで進行し、放置すれば漏水や破裂につながります。絶縁と防食の両立、そして定期点検による早期発見が、長期的な設備保全の鍵です。

【要点まとめ|水道管の侵食の概念】
・原因:金属間の電位差・環境差による腐食電池の形成
・分類:異種金属腐食/マクロセル侵食/ミクロセル侵食
・ミクロセル腐食には腐食性土壌・微生物腐食(SRB等)も含む
・対策:絶縁継手・外面防食・被覆管・通気排水性の確保
・基本原理:電流が流出する側で金属が溶出(Fe → Fe²⁺+2e⁻)

電気的・化学的侵食は静かに進行します。設計段階から電位差を意識した絶縁と防食が重要です。

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