耐久性基準値(耐久性能基準)とは?|水道給水装置の安全と信頼を支える耐久試験の仕組み

2022年12月06日 13:27
耐久性基準値を分かりやすく解説するツバメに乗った救急水道サービスの水滴マスコットのイメージイラスト

水道給水装置の中で「耐久性能基準」とは、長期間の使用において弁類(バルブや止水機構など)が繰り返し作動することによって劣化や破損を起こし、給水装置の耐圧性・逆流防止機能などに支障をきたすことを防ぐための重要な性能規定です。 消費者が直接触れない内部部品ほど、設計段階で厳しい試験が求められています。

1. 耐久性能基準の目的

耐久性能基準は、給水装置の安全性・信頼性を長期的に維持するために設定された基準であり、繰り返し作動による故障を未然に防ぐことを目的としています。 特に制御弁や逆止弁など、頻繁に動作する部分での磨耗・変形・金属疲労・パッキンの劣化を評価することで、使用年数が経過しても水漏れ・逆流・破損が起きないことを確認します。

・頻繁な開閉作動に耐える構造を確認

・経年劣化に対する性能を検証

・安全な給水と逆流防止を長期的に保証

2. 適用対象となる弁類

この基準が適用されるのは、一般に「機械的または自動的に頻繁に作動し、消費者自身が選択・設置・交換しない」弁類です。 すなわち、給水装置の内部で動作する自動制御系や安全装置類などが対象となります。 一般家庭の使用者が日常的に操作しない部分、すなわち「内部機構として常時稼働する弁類」が中心です。

適用される主な弁類の例

・給水装置内の自動制御弁

・逆止弁(逆流防止弁)

・電磁弁・圧力調整弁などの自動弁類

・フロートバルブ(制御弁)

3. 試験方法と回数基準(10万回試験)

耐久性能試験では、対象となる弁を「開」と「閉」の動作で1回と数え、これを10万回繰り返すことが求められます。 この10万回という数字は、一般的な家庭や施設での使用頻度を考慮し、10年以上に相当する耐久性を想定したものです。

試験装置では一定の水圧条件下で弁を連続作動させ、摩耗やシール性、内部の変形などを観察します。試験終了後には、残留変形・水漏れ・圧力保持性能を再評価します。

・開閉10万回(開+閉=1回)を実施

・試験後に耐圧・逆流防止性能を再確認

・異常変形や漏水がないことが条件

4. 適用除外となる部品(ボールタップなど)

ボールタップは、タンク内に設置されて水位を自動調整する装置ですが、通常は故障が発見しやすい箇所に設置されており、使用者が容易に交換可能です。 そのため、耐久性能基準の適用対象からは除外されています。

このように、「内部で頻繁に動作するが、容易に点検できない部品」が対象であり、「外部から容易に確認・交換できる部品」は除外される、という明確な区分が定められています。

5. 試験後に確認する4つの性能項目

10万回の開閉試験を終えた弁類は、以下の4つの性能を満たしている必要があります。

① 耐圧性能

② 水撃限界性能

③ 逆流防止性能

④ 負圧破壊性能

これらは水道法やJIS規格に基づく評価項目であり、どれか1つでも性能が著しく低下している場合は「不合格」となります。

6. 耐久性能基準の数値と評価条件

10万回の開閉動作後に、以下の性能を保っていることが基準値とされています:

  • 試験圧力:0.75〜1.0MPa
  • 漏水:0ml
  • 変形:クラックなし
  • 逆流:ゼロ

7. 国内外の規格との関係(JIS・ISO・水道法)

日本では水道法やJIS B規格によって弁類の性能基準が定められています。 海外ではISO9001・ISO9002などに基づく品質試験が用いられ、国際的にも信頼性が認められています。

8. 消費者にとっての意義と影響

耐久性能試験をクリアした製品を選ぶことで、水漏れ・逆流・故障のリスクが大幅に減ります。 集合住宅や設備が複雑な建物では、特に「長期信頼性」が重要です。

耐久基準を満たすことで得られるメリット

・長期間の安定給水

・内部漏水・逆流事故防止

・給湯器・メーターの負担軽減

・メンテナンスコスト削減

9. 今後の展望と技術的課題

今後は環境負荷低減・樹脂部品の耐候性向上・IoTバルブの耐久性など、新たな基準の整備が必要とされています。

10. まとめ

【要点まとめ】
・耐久性能基準は長期信頼性を確保するための基準
・対象は頻繁作動する内部弁類
・試験は10万回開閉+耐圧・逆流防止確認
・ボールタップは対象外
・耐久基準クリア製品は長寿命で安心

この記事は救急水道サービス監修|無断転載を禁じます。

耐久性基準値を詳しく知って手を振る水滴マスコットのイメージイラスト
耐久性基準値の記事を読んで水道修理の作業車に乗る水滴マスコット
記事一覧を見る