水道水に潜む病原菌・微生物とは?代表的な4種と感染リスク・予防法を解説

2022年11月15日 14:13
水道水に潜む病原菌を解説するツバメに乗った救急水道サービスの水滴マスコット

はじめに

日本の水道水は世界でもトップクラスの安全性を誇っていますが、それでも自然環境や事故、管理状況によっては、病原性の微生物が混入する可能性があります。とくに大規模な水害や、老朽化した給水設備などでは一時的な汚染リスクが高まります。

この記事では、水道水で注意すべき代表的な病原微生物4種について、感染経路や健康被害、そして予防対策までをわかりやすく解説します。

代表的な病原微生物とそのリスク

■1. 病原性大腸菌O157(Enterohemorrhagic E. coli)
• 概要:牛などの腸内に自然に存在することがある病原性大腸菌で、強いベロ毒素を産生。
• 感染経路:主に生肉や生野菜など食品経由が多いが、井戸水などの未処理水でも感染事例あり。
• 健康被害:
• 激しい下痢(血便を伴うことも)
• 腎不全
• 溶血性尿毒症症候群(HUS)など、重症化の可能性も。

🛡 予防法:水道では**残留塩素(0.1mg/L以上)**の確保により感染防止が可能。水道水をそのまま飲む分には極めて低リスクです。



■2. ノロウイルス(Norovirus)
• 概要:感染力が非常に強いウイルスで、わずか数個で感染が成立。
• 感染経路:
• 感染者の便・嘔吐物からの二次感染
• 食品(生牡蠣など)
• 汚染された水(井戸水や貯水槽)
• 健康被害:
• 下痢、腹痛、嘔吐、発熱
• 免疫力の低い人や高齢者では重症化のリスクあり

🛡 予防法:水道水の場合、残留塩素による消毒が有効。井戸水や簡易水道では**煮沸(85℃以上で1分以上)**が推奨されます。



■3. レジオネラ属菌(Legionella spp.)
• 概要:土壌や淡水環境など自然界に広く存在する細菌。
• 感染経路:感染した水のエアロゾル(霧状の水滴)を吸い込むことで感染。飲用による感染はほとんどない。
• 健康被害:
• レジオネラ肺炎(致死率20%超)
• ポンティアック熱(軽症)

🛡 予防法:
• 建物の貯湯槽、加湿器、循環浴槽の清掃管理が重要
• 水道では残留塩素の維持が感染予防に有効



■4. クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)
• 概要:原虫の一種。人や動物の腸内に寄生し、糞便に含まれる。
• 感染経路:
• 汚染された飲料水
• 食品や手指を介した経口感染
• 健康被害:
• 水様性下痢、腹痛、嘔吐など
• 特に乳幼児や免疫不全者は重症化しやすい

⚠️注意点:クリプトスポリジウムは塩素消毒に強い耐性があり、通常の水道処理では不十分なことも。ろ過やUV照射が有効とされています。

どんなときに注意すべき?(チェックポイント)

• 井戸水や簡易水道を使用している場合
• 浸水・断水・復旧後の初期使用時
• 長期間使っていなかった配管の再利用時
• 水に異臭・濁り・白濁・変な味がある場合
• 高齢者や乳幼児がいる家庭

こういった場合は、煮沸消毒やろ過浄水器の利用、水質検査の実施が安全です。

感染を防ぐには?日常の対策

残留塩素の維持:
日本の水道法では0.1mg/L以上が基準。浄水器使用後の水は塩素が除去されるため早めに使用。

井戸水は定期検査を:
年1回以上の水質検査(保健所・水質センターで可能)

飲用は水道水のみ使用:
雨水・川の水などは災害時でも飲まない
応急時は煮沸、85℃以上で1分以上(クリプトスポリジウム除去に有効)

加湿器・風呂は定期清掃、レジオネラ菌の繁殖防止に効果的

まとめ

日本の水道水は極めて安全に管理されていますが、自然由来の微生物汚染や災害時の影響で一時的にリスクが高まる場合もあります。
とくに井戸水や貯水槽を利用している施設、災害後の水の再利用時などには注意が必要です。

病原性大腸菌O157・ノロウイルス・レジオネラ菌・クリプトスポリジウムはいずれも適切な管理・処理で予防可能な微生物です。
日頃から正しい水道管理と衛生知識を持つことで、安全な生活を守ることができます。

水道水に潜む病原菌を理解して手を振る水滴マスコットのイメージイラスト|救急水道サービスバナー
水道修理に向かう作業車に乗る水滴マスコットのイメージイラスト
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