
水道の基礎知識管外面防食配管保全
水道管の管外面防食工とは、配管の外側を腐食や電食から守るための施工を指します。
鋼管やダクタイル鋳鉄管などの金属配管は、埋設後に土壌の水分・酸性度・電気的影響を受けて劣化が進むため、外面を防食材で被覆し、土壌と直接触れないようにすることが重要です。この記事では、防食塗料/防食テープ/ポリエチレンスリーブ/外面被覆管の特徴と施工手順、品質確保のポイントを整理します。
水道管は、地下に長期間埋設されるため、腐食・電食・化学的劣化などのリスクにさらされます。防食工の目的は、金属の表面を保護して腐食の進行を抑え、長期間の健全性を保つことです。外面の防食は、水道管の寿命を延ばし、漏水や破損を防止する最前線の対策です。
・金属表面を絶縁し、酸化・腐食反応を抑制
・水分・酸・塩類を遮断し、化学的劣化を防止
・迷走電流などによる電食を軽減
・管外面を清掃・脱脂後、プライマー→防食塗料2回以上塗布で保護
・継手部の段差はマスチックで平滑化し、均一な膜厚を確保
・膜厚は仕様に基づき、ピンホール検査で確認
・防食塗料の代替・補助として用いる方法
・粘着性のあるテープを重ね巻きし、空気と水分を遮断
・端末部は上向き止めで仕上げ、浸水を防止
・管全体をポリエチレンスリーブで覆い、土壌との接触を遮断
・継手部にはたるみを持たせ、粘着テープで密着・固定
・軽量・施工が容易で、広く標準化された防食法
・最初から外面PVC被覆(硬質塩化ビニル被覆鋼管)を使用
・工場被覆のため品質が安定し、施工誤差を防げる
・湿潤地や塩害地域など、厳しい環境で特に有効
ポリエチレンスリーブは、管外面を物理的に包み込むことにより、土壌との直接接触を防ぐ防食工法です。施工時の注意点は以下の通りです。
・継手部はたるみを持たせ、凹凸に沿わせて包み込む
・粘着テープで確実に密着・固定し、剥がれ防止
・スリーブ端部は上向きで止め、水が溜まらないようにする
・埋設時に破損しないよう、鋭利な石などを除去して埋戻す
・塗膜厚測定(規定膜厚を満たしているか)
・ピンホール検査(ホリデーテスト)
・テープ巻き端部の密着・上向き止め確認
・スリーブの破れ・浮き・折れがないか
・塗装面の油分・水分残り → 完全乾燥後に塗布
・マスチック未施工 → 段差を必ず平滑化
・スリーブ端部の下向き止め → 必ず上向き止めで浸水防止
・スリーブ破れ → 補修テープで補強、破損部は再被覆
外面被覆管は、外層に硬質塩化ビニルやエポキシ樹脂などの防食層を融着した管で、工場出荷時点で防食処理が完了しています。現場での塗装や巻付け作業を省略でき、品質が安定するため、海岸部・湿潤地・腐食性土壌などの厳しい環境で使用されます。
管外面防食工は、防食塗料/テープ巻き/スリーブ/被覆管など、施工環境に応じて選定します。どの方法でも「清掃・密着・乾燥・上向き止め」を徹底することが耐久性維持の基本です。
管外面防食は、配管保全の基本中の基本。清潔な下地と確実な密着が、長寿命化の鍵となります。

