水道:解氷とは?

2022年12月06日 13:22
凍結時の安全な解氷方法を解説するツバメに乗った救急水道サービスの水滴マスコット
水道:解氷とは?|凍結時の安全な解氷方法と注意点・再凍結を防ぐ予防策

水道の基礎知識凍結・解氷冬のトラブル対策

水道:解氷とは?|凍結時の安全な解氷方法と注意点・再凍結を防ぐ予防策
…(本文はユーザー提供のまま)…

気温が氷点下に下がると、屋外の立水栓・露出配管・北側の洗面配管・給湯機まわりの配管などが凍結し、水が出なくなることがあります。解氷(かいひょう)とは、凍結した配管内の氷栓(ひょうせん)を安全に溶かして通水を回復する作業のこと。
この記事では、温水注入による解氷/電気解氷の注意点/配管材質ごとの適正方法/絶対にやってはいけない行為/再凍結を防ぐ予防まで、現場目線で分かりやすく整理します。ご家庭でできる範囲と、専門対応が必要な判断の目安も明確に解説します。

1. 凍結はなぜ起こる?(仕組みとリスク)

水は0℃前後で氷に変わり体積が増えます。配管内で局所凍結が起きると、その前後に圧力差が生まれ、氷が栓の役割をして通水を妨げます。氷が成長し続けると配管内部圧が上がり、脆くなった部分や継手付近に応力が集中、解凍時にピンホールや割れが発生することがあります。つまり、凍結自体よりも「解ける瞬間の漏水」が実害につながりやすいのです。

凍結が起きやすい条件

・露出配管/北側・日陰/風当たりが強い場所

・配管が細い・長い・断熱不足/立水栓・ベランダ・給湯器周辺

・長時間の不在で水が動かなかった/夜間〜明け方の冷え込み

2. 解氷(かいひょう)とは?基本の考え方

解氷は、凍結部に安全な熱エネルギーを与えて氷の栓を溶かし、ゆっくり通水を回復する作業です。家庭で実施できるのは「温水・ぬるま湯・温風」など穏やかな方法に限られます。業者は状況に応じて、温水注入(耐熱ホースを用いて凍結管に温水を流す)や、条件を満たす場合のみ電気解氷(低電圧通電でジュール熱を与える)を使い分けます。

3. 温水による解氷(家庭で安全にできる方法)

対象に向く配管・場所

硬質ポリ塩化ビニル管(VP)/ポリエチレン二層管(架橋PE等)などの合成樹脂配管
・屋外立水栓、露出配管、給湯器まわりの配管(樹脂配管区間)

準備するもの

耐熱ホース(耐熱温度の明記があるもの)

・40〜50℃のぬるま湯(熱湯・沸騰水は使用しない)

・タオル、バケツ(滴り受け・養生用)

・厚手手袋(やけど防止)

手順(基本)

  1. 凍結が疑われる蛇口を少し開く(通水路を確保)
  2. 凍結区間に耐熱ホースで40〜50℃のぬるま湯をゆっくり流す
  3. 外側からは温かいタオルを当て、急激な温度差を避ける
  4. ぽたぽた出始めたら、蛇口は少し開いたままにして氷を逃がす
  5. 通水が安定したら蛇口を閉め、各継手の漏れ・にじみを点検

※沸騰に近い熱湯は材質変形・割れ・やけどの原因になるため使用しません。

4. ドライヤー等の温風で解氷する場合の注意

ドライヤーや温風ヒーターは屋内の露出配管床下点検口付近の凍結に有効です。
距離を保つ(焦げ・変形を防ぐため15〜20cm以上)
断熱材を少しめくり、温風を行き渡らせてから戻す
・水濡れ周辺で電気製品を使わない(感電防止)
・温風とぬるま湯タオルを交互に使い、穏やかに解氷

5. 電気解氷(業者が行う専門手法)と必須の安全確認

電気解氷は、専用機で配管に低電圧・管理された電流を流し、ジュール熱で凍結部を溶かす方法です。実施にあたっては、次の安全条件が絶対必須です。

・給水管がガス管・他の金属管と接触していないことを確認

異種金属・ユニット化装置・ステンレス管などが混在する場合は電気解氷を行わない

・誤通電による配管破断・設備損傷を避けるため、専任者のみが実施

上記のような混在材質では、比熱差・電気抵抗差により局所過熱→破断のリスクがあります。この場合は温水による解氷(耐熱ホースでの注入・外側加温)が推奨されます。

6. 配管材質別:推奨される解氷方法

硬質ポリ塩化ビニル(VP)

温水注入が有効。40〜50℃程度で徐々に解氷

・高温・直火は不可。変形・割れの原因

ポリエチレン二層管(架橋PE等)

温水注入+外側保温で穏やかに解氷

・曲げ部・継手付近は温度ムラに注意

銅管・鋼管

・外側からの温風・ぬるま湯タオルで徐々に

・機器内蔵部は分解が必要なことも。無理せず専門対応

ステンレス管・異種金属混在系

電気解氷は不可(局所過熱・破断リスク)

温水解氷で安全に。状況により専門対応へ

7. 解氷で「絶対にやってはいけない」NG行為

直火・バーナー・ヒーターを至近距離で当てる(火災・変形・破裂)

沸騰水を一気にかける(熱衝撃で割れる・やけど)

ハンマー等で叩く(内部損傷・継手破断)

・濡れた環境で家電を無防備に使用(感電)

・配管・機器の不用意な分解(保証外・漏水拡大)

8. 再凍結を防ぐための予防策(今日からできる)

断熱・保温の徹底

・露出配管は保温材+防水テープで確実に覆う
・立水栓は保温カバーや発泡材で囲う/止水栓ボックス内も隙間を減らす

凍結予防ヒーターの活用

・電熱帯(自己温度制御型)を配管に沿わせ、指定の方法で固定
・電源確認・漏電遮断器の点検を定期的に

運用面の工夫

・厳寒の夜は細く水を流す(通水で凍結を抑制)
・長期不在時は止水→系内の水抜き(地域や設備により方法が異なるため取説確認)
・屋外蛇口・給湯器周りの風よけ・冷気侵入経路の遮断

9. 凍結したかも? 状況別フローチャート

① 水が出ない/ごく少量 → 凍結の可能性大。蛇口を少し開ける

② 露出配管ならぬるま湯タオル+温風、樹脂配管なら耐熱ホースで温水をゆっくり

③ 少し出始めたらそのまま少流量で維持し、完全解氷を待つ

④ 通水後は継手・機器まわりのにじみをチェック(解凍漏れは早期発見が鍵)

⑤ 異種金属混在/ガス管接触が疑われる/屋内壁内・天井裏の場合 → 無理をせず専門相談

10. 救急水道サービスの安全サポート

状況診断

・凍結箇所の推定、配管材質・継手・機器構成の確認

・温水解氷/外部加温/内視鏡/圧力テスト等の選定

解氷〜再発防止

・通水回復後の漏水チェック、保温材の補修、凍結予防のご提案

・必要に応じて配管ルート見直し・断熱強化・電熱帯の設置

「水が出ない」「朝だけ止まる」「通水後ににじむ」など、違和感の段階からご相談ください。安全第一でサポートします。

11. まとめと要点コピーボックス

解氷は「ゆっくり・安全に・材質に合わせて」が原則です。樹脂配管は温水注入が有効異種金属やステンレス混在は電気解氷を避ける。直火や沸騰水は厳禁。通水回復後の漏れ確認と、断熱・保温の見直しまでがワンセットです。冬の備えを整え、トラブルを未然に防ぎましょう。

【要点まとめ|水道の解氷】
・解氷=凍結した配管を安全に溶かし通水回復する作業
・樹脂配管(VP/PE)は40〜50℃のぬるま湯+耐熱ホースで穏やかに
・電気解氷は接触金属なし/混在材質なしなど安全条件が必須。無理は禁物
直火・沸騰水・叩打・濡れ場での電化製品はNG
・通水後は継手のにじみを点検し、断熱・保温で再凍結を予防

少しでも不安があれば、私たち救急水道サービスへ。安全第一で迅速に対応します。

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